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ウイングアーク1st、AI活用を支えるデータ基盤「DataTetra」を発表 利用枠課金でコストを見通しやすく

ウイングアーク1st、AI活用を支えるデータ基盤「DataTetra」を発表 利用枠課金でコストを見通しやすく

ウイングアーク1stは、企業のAI利用を前提に設計したデータ活用基盤ソリューション「DataTetra(データテトラ)」を発表し、10月21日から順次提供を始めました。データの統合・管理からAIによる分析、業務での活用までを一体的に支援する基盤で、AI利用の拡大に伴う処理コストの増大や、特定サービスへの依存といった課題への対応を掲げています。

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AI活用の壁はモデルの性能だけではない

AIを業務に組み込む企業が増えるにつれ、壁になるのは「どのAIを選ぶか」よりも、手元のデータをどう扱い続けるかという地味な問題かもしれません。企業が持つデータは多様化と大規模化が進み、AIに使わせようとすると処理は複雑になります。

その一例が、大量の情報をAIに読み込ませた結果、文脈をうまく捉えられず回答の精度が落ちる「コンテキスト腐敗(Context Rot)」です。資料を詰め込めば詰め込むほど賢くなる、という素朴な期待に反する現象といえます。外部のAIサービスの稼働状況に自社の業務が左右される点も、見過ごせない論点です。

費用の問題も重なります。非構造化データの処理や、AIによる分析・検索を繰り返すたび、利用量に応じて処理コストが積み上がる構造があります。AIを日常的に使うほど支払いが増える。便利さと引き換えに、財布の中身がじわじわ減っていく感覚に覚えのある担当者もいるでしょう。

調査では約8割がコストを課題視

同社が9月に実施した「企業のAI活用と組織成果に関する実態調査」では、AIサービスの利用コストが今後のAI活用の課題になると思うかを尋ねています。「非常にそう思う」は28.2%、「ややそう思う」は50.9%で、合わせると79.1%です。

導入の勢いが先行する一方で、運用段階のコストへの不安は広く共有されているようです。DataTetraはこの不安に正面から答える製品として位置づけられています。

データをまとめ、AIの使いどころを選ぶ

DataTetraの核になるのが、新たに提供される「レイクハウス環境」です。レイクハウスとは、データウェアハウス(DWH)とデータレイクそれぞれの強みを補い合い、整理された構造化データと、文書や画像のような非構造化データをひとまとめに扱う仕組みを指します。データの統合・管理から、AIによる分析、業務での活用までを一つの流れで支えるとしています。

設計思想として掲げるのは「AIとの共生」「データ主権」「データ活用基盤」の3つです。

AIに任せる領域を絞るという発想

「AIとの共生」では、構造化・非構造化データを扱いながら、AIがデータの意味や利用条件を参照できる環境を整えます。そのうえで、AIによる処理が必要な領域と、従来のプログラムによる処理が向く領域を組み合わせ、AIへの過度な依存を抑える考え方です。

ここが興味深いところです。AIを万能の道具として増やしていくのではなく、定型的な処理は従来の仕組みに任せ、AIには本当に必要な場面だけを担当させる。費用の面でも精度の面でも、理にかなった線引きに見えます。

ベンダー依存を抑える「データ主権」

「データ主権」では、すでに持っているDWHやレイクハウスなどのデータ資産を生かしながら環境を構築でき、特定のベンダーへの依存を抑えるとしています。企業が自社のデータとAIの利用環境を主体的に選び、コントロールできる「ユーザー主権」を目指す姿勢です。

データ活用基盤の面では、データの統合、管理、意味付け、アプリケーションやAIエージェントの構築、共有・活用までを一体的に支援します。

従量課金ではなく利用枠で費用を見通す

構成面では、同社の「Dr.Sum」「MotionBoard」「dejiren AI」といった技術・製品群を組み合わせます。既存のDWHを補完する形と、DataTetraを中心にデータ活用基盤を組み立てる形の双方に対応し、企業のシステム環境に合わせた導入が可能です。

注目したいのは課金体系です。使った分だけ支払う従量課金ではなく、処理能力などの利用枠に基づく「キャパシティー課金」を採用する方針とされています。AI活用を広げる局面でも、コストを見通しながらデータを使い続けられる環境を目指すといいます。

もっとも、利用枠の課金が実際にどこまで費用負担を軽くするかは、企業ごとの利用規模や使い方によって変わってくるはずです。とはいえ、AIを使うたびにメーターが回る不安から、あらかじめ予算を組みやすい方式に重心を移す点は、経営層や情シス部門にとって検討しやすい材料になりそうです。

導入後に問われるのは組織への定着

基盤を入れただけで成果が出るわけではありません。同社は、データ活用環境の構築から運用、組織への定着までを支援するサービスも提供するとしています。年間100社以上の支援プロジェクトを手がける専門チームの知見を生かし、人材育成や運用体制の整備まで含めて、データ活用が継続的に進む組織づくりを後押しする計画です。

AIは試して終わりではなく、使い続けて初めて価値が出ます。そのときに効いてくるのは、モデルの賢さ以上に、データの整え方、費用の見通し、現場が運用を回せる体制という足回りでしょう。DataTetraの発表は、AI競争の舞台が「何を使うか」から「どう持続させるか」へ移りつつあることを映しています。

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